かぜはどこへいくの


かぜは どこへいくの (世界の絵本)

かぜは どこへいくの (世界の絵本)


この絵本、イイ。
一日が終わって、ちいさな男の子と母親が話すこと。

「どうして、ひるはおしまいになってしまうの?」
と、おとこの子は、おかあさんに ききました。
「よるがはじめられるようによ。」と、おかあさんは いって、
「ほら、みてごらん。」と、まどのそとを ゆびさしました。
なしの木の えだのむこう、くらくなっていく そらの
なかほどに、白く ひかる、ほそい月が みえました。
「あれが、よるの はじまりよ。お月さまや
おほしさまが でて、くらく しずかになって、おまえが
たのしい ゆめをみて ねむれるようにね。」

太陽はべつのところでまた照らす。
風はどこかでまた木をゆらす。
タンポポの綿毛はとんでいって、また花を咲かせる。
道はずっと続いている。
山を登ったら、また下って谷が始まる。
波はまた海に吸い込まれて新しい波になる。
船は水平線をこえて次の港へ。
雨はまた雲になり別の雨になる。
・・・。


おしまいになってしまうものはなにもない。
別の場所で、別の形で始まるだけのこと。


ぐるぐる、続いていくんだね。